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第103話 噂話

Auteur: 霞花怜
last update Dernière mise à jour: 2025-08-07 19:00:23

「あれ、向井先生。おはようございます」

 後ろから声を掛けられて、振り返る。

 臥龍岡が理玖と晴翔に向かって笑みを向けていた。

「おはよう、ございます」

 臥龍岡の後ろを歩く佐藤の姿に気が付いて、理玖の声が若干揺れた。

「おはようございます~、臥龍岡先生。もしかして例の申請書類ですか?」

 伊藤が臥龍岡の後ろに立つ佐藤に目を向ける。

 佐藤が普通にニコリと笑んで伊藤に会釈した。

「えぇ、その書類を貰いに来ました。助手が欲しい先生は沢山いたみたいだけど、私が勝ち取りましたよ。佐藤さんはいただきました」

 臥龍岡が冗談めかして伊藤に笑いかける。

 伊藤が可笑しそうに笑った。

「良かったですねぇ。臥龍岡先生はお忙しいから、助手さん、いてくれた方が助かりますよね」

 臥龍岡の目が晴翔に向いた。

「向井先生を見ていたら羨ましいなぁと思って。私も空咲君のような真面目で優秀な助手が欲しくなりました」

 臥龍岡が晴翔に笑いかける。

 晴翔が外向きスマイルで軽く頭を下げた。

「空咲君はダメですよぉ。向井先生の助手固定だから。佐藤さんは見た目そんなだけどオバさんにも丁寧で優しくて良い人だから満足してくださいねぇ」

 伊藤が晴翔の襟首を掴んで引っ張った。

 突然の行為に晴翔が大きく後ろに下がった。

「女性は皆、レディでしょ。俺、男にも女にも優しくがモットーなの。臥龍岡センセが不満なら、助手交換してもいーよ。俺が向井センセのトコ、行こうか?」

 佐藤が前に出て、理玖に手を伸ばした。

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